BackStageでできること #30|値引きの書き方:マイナス単価の値引き行と税率
「今回は初回なので1割引きで」「端数をまとめて切りのいい金額に」。値引きは取引の中でよくあることですが、見積書や請求書にどう書けばよいかは意外と迷います。単価をこっそり下げるのか、値引きの行を立てるのか。消費税の税率が混ざっているときはどうするのか。
この記事では、BackStageでマイナスの単価を使って値引き行を作る方法を中心に、値引きを明示するメリット、税率ごとに値引きを分ける理由と計算例、源泉徴収がある場合の扱い、よくあるつまずきを解説します。
値引きは「単価を下げる」より「値引き行」で見せる
値引きの書き方には、明細の単価そのものを下げる方法と、通常の単価のまま別の行で値引きを示す方法があります。どちらも計算上の請求額は同じになりますが、取引先にとって分かりやすいのは後者です。
値引き行を立てると、「本来の価格」と「今回特別に下げた額」が1枚の書類で分かります。次回以降の取引で通常価格に戻すときにも説明がしやすく、値引きが慣例化してしまうのを防げます。また、見積と請求の両方に同じ値引き行があれば、取引先の担当者も社内で稟議を通しやすくなります。
値引きにはいくつかの種類があり、摘要の書き方もそれに合わせると伝わりやすくなります。たとえば、交渉の結果として金額を下げる「出精値引き」、端数を切りのいい金額にそろえる「端数値引き」、まとまった数量や継続契約に対する「数量割引」「長期契約割引」などです。税抜103,400円の見積を税抜100,000円にそろえたいなら、「端数値引き」として-3,400円の行を1つ加えるだけで済みます。
BackStageで値引き行を作る手順
BackStageの見積書・請求書の明細では、単価にマイナスの金額を入力できます。これを使って値引き行を作ります。
- 見積書または請求書の明細に、通常の価格で作業や商品の行を入力します。
- 明細を1行追加し、摘要に「出精値引き」「初回割引(10%)」など値引きの内容を書きます。
- 数量は1、単位は「式」のままにし、単価にマイナスの金額(例:-30000)を入力します。数量は1以上の整数で入力する仕様なので、マイナスは単価の側に付けます。
- 値引き行の税率を、値引きの対象になった明細と同じ税率にします。
- 合計欄で、税率ごとの小計と消費税が値引き後の金額になっていることを確認して保存します。
見積書で作った値引き行は、請求書へ変換するときに明細としてそのまま引き継がれます。見積の段階で値引きを確定させておけば、請求書で入力し直す必要はありません。
計算例:税率が1つの場合と、混ざる場合
税率が10%だけの場合
制作費300,000円(10%)に、値引き-30,000円(10%)の行を加えます。10%対象の小計は270,000円、消費税は27,000円で、請求額は297,000円です。消費税は値引き後の小計に対して計算されるので、値引き分の消費税を別に計算する必要はありません。
10%と8%が混ざる場合
作業費50,000円(10%)と飲食料品20,000円(8%)の請求で、全体を5%値引きするとします。正しくは、値引きを税率ごとに分け、「値引き(作業費分)-2,500円(10%)」「値引き(飲食料品分)-1,000円(8%)」の2行にします。10%対象は47,500円で消費税4,750円、8%対象は19,000円で消費税1,520円となり、請求額は72,770円です。
もし値引き3,500円を1行にまとめて10%で入力すると、10%対象は46,500円で消費税4,650円、8%対象は20,000円のまま消費税1,600円となり、請求額は72,750円になります。わずか20円の差ですが、税率ごとの対価の額と消費税額が実態と合わなくなり、取引先の仕入税額控除の計算にも影響します。税率が混ざる請求書では、値引きも税率ごとに分けて書くのが基本です。
源泉徴収がある請求書での値引き
Proプラン以上で源泉徴収をONにしている請求書では、源泉徴収税額は値引き後の税抜小計に対して計算されます。上の10%だけの例なら、税抜小計270,000円×10.21%=27,567円です(1円未満の端数が出た場合は切り捨て)。お支払金額は297,000円−27,567円=269,433円になります。
値引き行を入れると源泉徴収の対象額も下がるため、取引先が通常価格で源泉徴収を計算してしまうと金額が合わなくなります。値引きを含む請求書を送るときは、合計欄の「源泉徴収 -¥」と「お支払金額」を取引先にも確認してもらうと安心です。
よくあるつまずきと注意点
1つ目は、値引き行の税率の選び間違いです。値引きは元の取引の対価を減らすものなので、対象の明細と同じ税率にします。0%(非課税等)にしてしまうと、税率ごとの小計と消費税が実態より多く表示されてしまいます。
2つ目は、値引きの理由が書かれていないことです。摘要が「値引き」だけだと、取引先の担当者が上司に説明しにくくなります。「初回割引」「長期契約割引」「出精値引き」など、理由が分かる言葉を選びましょう。割合で値引きした場合は「(10%)」のように率を添えると、計算の根拠も伝わります。
3つ目は、請求書を送った後に値引きが決まったケースです。入金前であれば請求書を編集して値引き行を追加でき、変更履歴に変更前と変更後の金額が残ります。修正した旨は必ず取引先に連絡し、修正後のPDFを改めて送りましょう。すでに入金済みの取引に後から値引きや返金をする場合は、消費税の扱いが別に関係することがあるため、最新の情報を国税庁の公式サイトで確認するか、税理士などの専門家に相談してください。
まとめ
値引きは単価を下げるより、マイナス単価の値引き行として明示するほうが、取引先にも自分にも分かりやすくなります。値引き行の税率は対象の明細と同じにし、10%と8%が混ざる請求書では値引きも税率ごとに分けて書くのが基本です。
BackStageなら、値引き行を入れるだけで税率ごとの小計・消費税、源泉徴収税額まで値引き後の金額で自動計算されます。見積の段階で値引きを入れておけば、請求書へもそのまま引き継げます。
よくある質問
Q. BackStageで値引きを入力するにはどうすればいいですか?
明細を1行追加し、摘要に値引きの内容を書いて、単価にマイナスの金額を入力します。数量は1以上の整数なので、マイナスは単価の側に付けます。
Q. 値引き行の税率は何%にすればいいですか?
値引きの対象になった明細と同じ税率にします。10%と8%の明細をまとめて値引きする場合は、値引きを税率ごとに分けて2行にするのが基本です。
Q. 値引きすると源泉徴収税額も変わりますか?
変わります。BackStageの源泉徴収(Pro以上)は値引き後の税抜小計に対して計算されるため、値引き分だけ源泉徴収税額も下がります。